京都の異空間ロックバンド・ヘルミッショナルズがお送りする劇空間コラム。

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第5回 廻奇話
「私はあなたなんて怖くないわ、だって私助からない病気だもの。
 ウフフ。おじさん私のかわいそうな話きいてくれない?
 どうせ暇でしょう」
彼女は不治の病に冒され医者も匙を投げたということ
そして、大切な人のことを思い別れたこと
家族に当り散らしても家族が優しくしてくれて
逆に家にいれなくなったこと
などなど、涙なしでは聞けない話をとても楽しげに
話した。男も思わず涙を流した。そして
「そりゃ辛いだろう。俺が殺してやるよ」
そう言うと、少女の胸にナイフを刺した。
男は少女の返り血を浴びながら笑っていた。



闇医者に彼女のことを話すと闇医者は
「それなら治せるな」と厳かに言った。僕は喜びに震えた。
「先生是非、是非お願いします」僕は懇願した。
すると闇医者は「治療費はちと高いよー。君に払えるかな」
と、とてもいやらしい顔で言った。
僕はこのブラックジャックきどりの医者に報酬を支払うため
ほとんど寝ず、食事もまともにとらず働くことになるのだろう。
でもしょうがない。彼女の運命を握っているのは
この男なのだ。



帰途についた私のステップは軽かった。
妻にもうすぐ会える、と思うとステップも軽くなるというものである。
仕事もうまくいきそうだし。ククク、思わず笑みがこぼれた。
家に帰ると蛙のような妻はゴロリと寝ながら虫を食っていた。
「あら帰ってたの。相変わらずいつ帰ってきたのかわからないわね。
 もうちょっと存在感のある男にならないと駄目よ」
といきなり言われ、妻の機嫌が悪いことがすぐにわかった。
私は仕事がうまくいったことを告げ、
「給料が入ったら、なんでも買ってあげるよ」
と言った。突然妻の目が輝きだした。
あー、なんて美しいんだ。この目を見続けるためには
是非とも仕事を成功させねば。



計画実行まであと1ヶ月ある。
俺は朝から赤い布の袋を被っていた自分が恥ずかしくなった。
あいかわらず、何をやってもせっかちなのだ。
このせっかちのせいで今までどれだけ失敗してきたことか。
この計画では失敗は許されない。
俺はどうすれば自分のせっかちが治るかを考えていた。



大男はすれ違い様に私の方をチラリと見た。
私は鼓動が早くなるのを感じていた。
数秒を何時間にも感じた。
私は大男をやり過ごすと逃げるように走りだした。
すると後ろから「おい、待てっ!」
と叫ぶ声が聞こえた。
私は目をつぶりながら、がむしゃらに走った。
| 三号 | 小説 | 23:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
第1回 尻弁天六郎の冒険
尻弁天六郎は孤島で一人。
何の因果でこんな所にくるハメになったかといえば、
母に「ワカメを取りに行く」と言って家を出て
ワカメ採りに夢中になって気付けば見知らぬ地に着いていた、
と説明するのも馬鹿馬鹿しい理由からである。

ならば来た方に帰ればよいではないか、
というのが通常の考えであるのだが、六郎はそうは考えなかった。
というのも、六郎は生まれてこの方生まれ故郷の垂尻島を出たことがなく、この無人島に着いた時『なんたら不思議な所だ』と思ったのである。
また、それだけでなく無人島をウキウキして見回しているうちに
六郎は方角がすでにわからなくなって、
『どうしよ』とも思っていたのである。

<次回予告>
未知との遭遇、珍獣との戦い、六郎の大ピンチ。
危険をかいくぐり無人島を彷徨い歩いた六郎の見たものとは?
| 三号 | 小説 | 22:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
第4回 廻奇話
男が街を歩いていると酒場のマスターが
「おう、久しぶりじゃねぇか。最近どうしてたんだ?」
と馴れ馴れしく近づいてきた。
しかし、男の右手に握られているナイフを見るや否や
「ひっ」と叫び、這うように逃げて行った。
それを機に街を歩いていた人達は
「乱心しやがった」等々の言葉を叫びながら
次々と逃げて行った。その中でパジャマ姿の少女が一人
男の前に立ちふさがった。
「へぇー、お嬢ちゃんは俺が怖くないのかい」



彼女の石化現象を治すために、僕は東奔西走した。
しかし、現代医学ではどうすることもできない
という事実は変わることなく、僕は絶望寸前だった。
『僕が絶望してしまっては、彼女はどうなるのだ』
そう思い、私はまた走り回った。
そして、ヤクザになった同級生に闇医者を紹介してもらうこととなった。
この際、すがれるものは何にでもすがろう。
僕は彼女の写真を眺めてそう決意した。



妻にキスをして私は家を出た。
いつもこの時間だけは私を嫌な気分にさせる。
しょうがない。それが仕事というものだ。
家に帰れば美しい妻が待っている。妻の為に働くぞ
と思えば苦も楽に変わるというものである。
今日は久しぶりに大きい仕事の打ち合わせだ。
この仕事がうまくいけば妻も喜んでくれるに違いない。
私は気持ちを仕事モードを切り替え、職場に向かって歩き出した。



リーダーの児玉が窓際に座り、時々カーテンを開いて
外を見ていた。他の4人と俺は車座になって
今後の計画の打ち合わせをしていた。
すると突然児玉が発言をした。
「今度のターゲットは悪徳医者だ。あいつらの汚い金を
 根こそぎ奪うぞ」
リーダーの言葉にみんなだまって頷いた。
俺は計画のことを思うと早くも緊張していた。



恐怖の夜は過ぎ、ようやく朝日が昇り始めた。
当然のごとく私は一睡もできなかった。
老婆が「昨晩はよく眠れましたか。今日は息子が
帰ってきますよって、よかったら会っていって下さいな」
と言った。私は生返事をしながら出された朝食を食べた。
すると老婆は聞いてもいないのにまた喋り出した。
「息子は気性が荒くてねー、私が2階に上がっても怒るですよ。
だから、息子がいない時も私も2階には上がらんように
しとるんですわ」
私は震えながら、「じゃあそろそろ帰らせていただきます」
と言った。ドアを開けると向こうから大きな袋をかついだ
大男がこちらに向かって歩いてきた。
| 三号 | 小説 | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0) |
第3回 廻奇話
世を怨み、世を憎み、一人酒を飲んで暮らす毎日を送っていた男は
遂に金が尽きた。
こんな現実的な悩みまで、俺をいじめるのか
と滅茶苦茶な理由で更なる恨みを増長させてしまった男は
キッチンにあった果物ナイフを片手に
フラフラっと街へ歩き出した。



彼女の家に着きドアを開けると
狭い6畳の部屋で一人彼女は
三角座りをしながら、しくしくと泣いていた。
よく見ると彼女の足は、脛まで石になっていた。
「最近どんどん石になるのが早くなってきている気がするの。
 もう踊れないし、歩くこともできないの。」
僕は絶望に打ちひしがれた彼女の顔を見て
だまって彼女を抱きしめた。



今日は月に1回の妻の定期健診の日である。
妻は月に1度注射を打たないと生命を維持できない憐れな憐れな蛙女なのだ。
世間では彼女を蛙夫人だなどと呼んで蔑むが
昔は誰もが振り返るような美女だったのだ。
しかし、私は今の妻の方がかわいいと思っている。
それは私が妻をとても愛しているからだ。
おっと、これ以上美しい妻を待たせる訳には行かない。
彼女は短気だから、また怒られてしまう。



汗だくになりながら、ややこしい路地を全力疾走し
こんどこそ間違えなく警察をまいたな、と安心した。
そして、そのままアジトである児玉の家に向かった。
4畳半のオンボロアパートの1室に着くと、ドアをノックして
「バッファロー」
「吾郎」
「伊吹」
「吾郎」
との合言葉を交わし、部屋に入った。
部屋にはもう仲間が集まっていた。



2階の闇の中で、なんとなく薄気味悪さを感じてはいたのだが
興味の方が勝ってしまい、闇の中で私はライターの火をつけた。
背中に戦慄が走った。
部屋には人間の足が散乱していたのだ。
最初は薄暗さ故に人形か何かだと思ったのだが、
触ってみると明らかに人間のものだった。
「足って…」
恐怖に支配されながらもどうにか冷静さを保っていた私は
なるべく音をたてぬようにして、階段を下りて
すぐに布団にもぐった。
| 三号 | 小説 | 23:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
第2回 廻奇話
蛆事件以来、世間からは危険人物のように扱われ
隔離されたかのごとく、家でひっそりと過ごすこととなった。
周りの人達を驚かしてやりたい
と思っただけなのに…。
自分の発想がズレているということと
気味悪がられていることなどはまったく考えることなく
男は世間を逆恨みしながら、今日も一人で酒を飲んだ。



彼女のことが気になりながらも
気の弱い僕はトボトボと家に帰った。
その晩彼女から電話があった。
「ごめんなさい。本当は私怖いの。いっしょにいてほしいの。」
そんな彼女をほったらかしにはできない。
僕はバイクにまたがり、彼女の家に向かった。



今日は妻とショッピングに出かける日だ。
しかし妻は、私のセンスが悪いと怒鳴りちらし
挙句に「そんなセンスの悪い人とはいっしょに歩けないわ」
とぬかす。
蛙の分際で何を言うか、という言葉が喉まで出そうになるのだが
私は妻を愛しているので、結局妻が納得いくまで
いろいろと衣装替えをするのだ。



俺は目の前の刑事を突き飛ばし、逃げ出した。
なんてことだ。もうバレてしまったのか。
俺は必死に走った。足だけには自信があるのだ。
商店街の中を突っ走り、買い物中のおばはんを突き飛ばし
必死に刑事をまいた。
フー、危なかった。
その時である。俺は重大なミスに気付いた。
覆面をしたままだったのだ。これでは目立ってしょうがない。
俺は覆面を脱ぎ、ポケットに突っ込んで
また走った。
俺はなんて間抜けなんだ。



道に迷った私を快く泊めてくれた老婆には悪いが
2階にあがるな、などと言わなくて良いことを言った
お前が悪いのだ
などと自分に言い訳をしながら、私は寝静まった老婆を
横目に2階への階段をギシギシと上った。
階段の上は永遠に続く闇のように見えた。

| 三号 | 小説 | 18:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
第1回 廻奇話
男は米を大量に口に含んで、街の酒場に現れた。
ブワーっと吐き出した米は瞬時に蛆に変貌し、
阿鼻叫喚、悲鳴、絶叫。



キチガイじみた音楽にのって踊り狂う僕の彼女は
足のつま先が石になっているのにも気付いてない顔をして
狂ったように踊り続けている。
彼女は哀れな気持ちで見ている僕を見て
「踊らないなら帰りなよ」
と言うのだからたまらない。



醜怪な容貌をした、蛙夫人は私の妻。
予期せぬタイミングで蝿等を食す。
たまにびっくりするんだけど、
私は妻をかわいいと思っている。
蛙夫人は自分のことをわかっていないので
「あんたなんかよりもっとイケメンと結婚したかったわ」
とぬかす。でもでも二人の愛は実はとっても深いのさ。



赤い布の袋を頭に被り、目の所に穴を開けた。
「これでばっちりや」
と独り言を言った後、今日こそやるぞ、という思いを胸に秘め
玄関のドアを開けた。
ドアの前に刑事の2人組が立っていた。



「2階には決して上がらないで下さいよ」
と老婆は私に向かって言った。
そんなことを言われたら上がりたくなるのが
人の性ではないか。
私は老婆が寝静まった時間を見計らって、2階に上がろう
と心に決めた。
| 三号 | 小説 | 18:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
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