京都の異空間ロックバンド・ヘルミッショナルズがお送りする劇空間コラム。

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厄年の夏


42歳の元サラリーマン、木田は夏至を超えた今日もまた次の就職先探しに奔走していた。
 ―木田はある事情があって16年間勤めていたTV制作会社を半年前に辞職した。ある事情とは女がらみの事で、つまりは社内での四股がバレたのが原因だった。ある一人の女には浮気が元で殺されかけ、その他の社員からも白い目で見られ始めたのが一年前。その後も持ち前の心の図太さで数ヶ月やり過ごしたが半年前に四人の女が力を合わせて木田暗殺を企て、結局未遂に終わったのだけれども木田本人は全身502針縫う大怪我。女四人も刑務所送り。木田はその事件の日、丸一日色々なことを総合的かつ建設的に思慮した結果、辞職を渋々選択した―
 
 冷蔵庫の訪問販売会社の面接を終えたのが昼過ぎ。「今日も上手くいかなかったな」などと反省というよりも駄目男な自分に酔いしれるかのような余裕加減で自販機で買った緑茶を少し口に含んだ時だった。見た目高校生ぐらいの銀髪の青年が不意に話しかけてきた。
「あのぉ、国木田さんですよね?」

 「は?いえ、違います。というかあなた一体誰ですか?」

「いや、あのぉ、国木田さんですよね?」
 
 「いや、だから違います!何なんですか一体?」

「すいません。もう一度お尋ねします。国木田さんですよね?」
 
 「違います!ちょっと君、失礼だよ。私は国木田なんて名前じゃないし
  だいたい見ず知らずの君になぜそんな事答えなきゃいけないんだ!」

「すいません。違うんですよ。名前がどうこうじゃなくて。
 たぶんそうかなと思いまして。」

 「何が?何なんだ?」

「いやだから国木田さんかと思いまして。」

 「だから私は国木田じゃ無い!どっか行ってくれ!警察呼ぶぞ!」

「そうですか。すいません。てっきり国木田さんかと。僕の勘違いでした。
 すいませんでした、国木田さん似さん。」

 「ん?ちょっと待て!君!失礼じゃないかそれは!私は国木田では無いし
  それは君の勝手な思い込みだろ?なのに勝手に「似」にするんじゃない!」

「いや、すいませんそういうつもりじゃぁ。ただ、国木田さんでは無いことは
 わかりましたけど、もしかしたら国木田さん似の方かなと思いまして。なは」

 「…もうあかん!警察呼ぶ!」

「いやちょっと待ってくださいよ。話ちゃんと聞いてくださいよ。
 国木田さん似さん似さん…

…言うまでも無く木田はまたもや面接に落ちた。次は豆腐職人を目指す。
頑張れ木田!
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