京都の異空間ロックバンド・ヘルミッショナルズがお送りする劇空間コラム。

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怒れ、諸人よ
今日は非常に疲れた。
帰る時間は多少遅くなるが電車を一本遅らせてでも座って帰ろう。

一本遅らせた電車は最初は当然のごとく席が空いていたが、次第に席が埋まっていった。そして、席が埋まった時点から電車を一本遅らせる人が、ちらほら見えた。
そして空席ゼロ、立っている人ゼロという状態で電車は発車した。

私は『一本遅らせて良かった』とほっとした。
一分後、次の駅に到着した。すると、妊婦とお婆が電車に乗り込んできた。
そして何の因果であろうか、妊婦とお婆は車内をウロウロした挙句、何故か二人とも私の前に立つのである。
当然、私の席は優先席でもなければ、進行方向を向いた快適な席でもない。特筆するべきことは何もない凡庸な席なのである。

しかし現在の車内の状況を解説すると、今車内で立っている人間は妊婦とお婆だけで、まるで家族のように私の前に立ちふさがっているのである。当然私の顔には『悪』の文字が刻まれたの同然の状態と言えるのだ。

私は『私が電車を一本遅らせてまでしてやっと手に入れたこの席を、奴らに渡してなるものか。』そう決意したのだが、いかんせん奴らは世論を完全に味方につけているので、まさしく四面楚歌なのである。

周囲の目は冷たく厳しいものである。
「この鬼畜が。どけっ。立て。走れ。死ね」
という声が聞こえて来るようである。
中には チッ
と舌打ちまでする輩がいるのだから耐えられない。

私は怒った。
だいたいからしてこんなおかしなことはない。

しかししかし、よくよく考えると、少し席の離れた奴が
「どうぞ」と快く席を譲った時のことを考えると、
これはかなりやばい状況であることがわかる。

そうなると、更なる冤罪、十字架が俺の背中にのせらることは明々白々であり、
気まずさから、呼吸困難となり、駅員に運ばれて、
その後にお婆もしくは妊婦が、私のいた席に座ることになり、
私は席を譲った訳でもない上に、倒れて、救護室に運び込まれ、
挙句に立って電車に乗って帰る羽目になるに違いないことが容易に想像できるので
これは譲るしかないなぁ、と思ったのである。

そう思ったら早いほうが良い。
なぜなら、先に斜め向かいの好青年が席を譲ると、
後から譲った私は、対して感謝もされず、なんたら寒々とした感じに
なってしまうのは自明の理であり、これだけは絶対に避けなければならないのである。


私はシャキッと立ち上がり、
「どうぞ」
と、ちょっと渋めの声で席を譲った。

完璧ではないか。しんどいくて疲労困憊ではあるが、
これほど完璧な席譲りができたのだから、良しとしよう
と思い、自分の研ぎ澄まされた紳士ぶりにうっとりしていると
妊婦の糞ボケが、「フフッ」
と笑ったのである。

「ちょっと待てこら、このボケ殺すぞ。
 どんなけ疲れてる思てんのじゃ、コラ!
 席を譲ったったのに、何笑てんじゃ、理由を言え、
 俺を納得させられるだけの理由を言えっ!」

と言いたかったのヤマヤマだが、何も言えないこの気の小ささ。
なんたる情けなさ、なんたる体たらくであろうか。

帰りの車内、妊婦の前に仁王のような顔でずっと立って
『怒りは発散しなければ』と、ずっと考えていた。

しかし、怒りの発散はタイミングを逃すと発散できないので
これからはどんどん直情的に怒っていこうと思う。

と思っていると早速駅で ドンっと肩がぶつかった。
ここだっ。
と思い、キッと振り返り、その顔を見ると…
| 三号 | 電車 | 21:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
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